メイアン社の原点は、19世紀半ばにフランス・リヨンの庭師であり、バラ栽培家であったジョセフ・ランボーがバラの育種を始めたことにあります。ランボーの娘と結婚した婿のフランシス・デュブレイユもまた、義父の影響によってバラの世界に引き込まれていき、有名な育種家となりました。そして彼の娘クラウディアと結婚したアントワーヌ・メイアンこそ、メイアン社という商号を立ち上げ、後にその愛称、「パパ・メイアン」という有名なバラを捧げられた人物です。そしてアントワーヌの息子フランシスによって、永遠の銘花「ピース」が生まれました。このバラは、バラの歴史において新時代を作るほどの優れた性質によって人々を驚かすと同時に、やっと訪れた世界平和への深い思いを込めて名づけられました。(「ピース」はフランスでは「マダム・アントワーヌ・メイアン」と呼ばれており、フランシスの母、クラウディアに捧げられています)フランシスは46歳という若さで世を去り、残された妻マリールイーズ(愛称 マヌウ)と父アントワーヌは力を合わせてまだ青年だったフランシスの息子アランにバラ育種家一族の教えを授け続けました。やがて立派に成長したアランは素晴らしいリーダーシップで現在のメイアン社を率いています。
このようにメイアン社の大きな特徴と魅力は、自らを「ザ・グランド・ローズ・ファミリー」と呼ぶとおり、メイアン家の伝統と家族の絆を何よりも大事にし、守り続けていることです。「ソニア」や「マヌウ メイアン」などは、現代表アラン・メイアンの娘や母など、家族に愛をこめて捧げられています。
また、芸術と文化の国フランスらしく、芸術家や文豪、ファッションデザイナー、音楽家、今をきらめく女優や歌手など世界中のスター達にも、多くのバラを捧げて敬意を表しています。特に「プリンセス ドゥ モナコ」を始めとするモナコ王室シリーズは有名ですが、日本にも敬意を表し、最新では敬宮愛子内親王殿下に捧げられた「ロイヤル プリンセス」や、ノーベル賞作家・川端康成の小説の名を取った「伊豆の踊子」などがあります。
メイアン社の育種チームは毎年5,000~8,000個体の交配を行い、結果として10万~12万種の実生品種を8~10年かけて観察を行っています。その間に試作、選抜が繰り返され、結果として残るのがわずか10品種ほどです。それらの多くは、フランス人の感性を生かした華やかな色彩や豊かな香りを持ち合わせており、魅力的な名前が与えられ、世界中のバラファンに、フランスのエスプリがぎっしりとつめこまれたバラが届くのです。
メイアン社は、現在でも100%家族経営を貫き、先祖から受け継いだ伝統的な育種技術に加え、新しい時代に即した研究にも強い関心を持ち続けています。しかし、その底に流れるのは自然への畏敬の念、そして血の通った人間の感情です。メイアン社のバラは、これからもメイアン・ファミリーの暖かい愛情と絆によって育てられ、多くの人々との友情や尊敬をこめて、世界へ向けてデビューすることでしょう。 |